人の腸内には約100兆個・1000種類もの腸内細菌が存在しているといわれており、その様子は花畑のように見えることから「腸内フローラ」と呼ばれています。近年、この腸内フローラの研究が進むにつれて、健康維持のための新たな発見が続いています。
そこで今回は、細菌叢(さいきんそう)の研究により次世代のライフスタイルを提案する株式会社サイキンソーの沢井代表に、『腸内フローラと健康』についてお話を伺いました。
腸は消化吸収だけでなく、
体を守る「壁」の役割
腸は、食べ物の栄養や水分を体内へ吸収する大切な器官です。しかし、役割はそれだけではありません。
口から入ってきたさまざまな物質の中には、栄養だけでなく雑菌も含まれています。そこで、腸の壁に存在している腸内細菌が有害なものを侵入させないように、まるで「門番」のように守ってくれていると考えられています。それを「腸内のバリア機能」と言い、腸のもう一つの役割です。
腸内フローラは母からの
「贈り物」だった !?
人は胎児の時点では腸内細菌は存在せず、無菌状態であると言われています。出産時に初めて母体内の菌に触れることで腸内フローラはつくられ始め、その後、食事などとともに形成されると言われています。腸内フローラは母親からの最初の「贈り物」とも言えます。
良好な腸内フローラのポイントは
腸内細菌の“多様性”にあり
腸内環境を良い状態に保つためには、腸内の善玉菌を増やすと同時に、腸内フローラ全体の多様性を維持してあげることが大切です。体にとって良い菌が適正なバランスで存在し、それぞれが働きやすい腸内フローラを形成しているかどうかがポイントです。
腸の状態は日々の健康にも
広く影響する
「腸内のバリア機能」は食習慣や生活習慣、ストレスや環境などさまざまな要因によって左右されます。「腸内のバリア機能」が低下すると腸内細菌の状態(腸内フローラ)が乱れ(腸内細菌叢の異常=Dysbiosis/ディスバイオーシス)、日々の健康にも影響を及ぼします。腸の働きを知り、腸内フローラを良好な状態に維持していくことで、健やかな体づくりを目指しましょう。
腸内フローラを
整えるためのポイント
腸内フローラを良い状態に保つためには何と言っても食事が大切。腸内細菌の餌となる栄養成分を含む以下のような食品を摂取すると良いでしょう。
人の健やかな未来は、
腸内フローラとともにあります。
腸内フローラは、人の健康を支えているといわれています。近年研究が進み、腸内フローラのパーソナライズ(個別診断)が確立されれば、一人ひとりに適した健康管理や体質改善、精密検査、治療法、食事指導などにもつなげていけると私は信じています。今後も腸内フローラの研究にぜひ注目していただきたいですね。